■ 3) 2年間のシーズンを振り返って(後編)
    〜やっぱり欲しいインナーエッジ〜

――:話は変わりますが、チーム・サトミは最後まで「これ!」というインナーエッジを持ちませんでしたね。

三戸:僕らも持ちたかったですよ。

渡辺:持てば良いじゃないかと思った時も多いですね。

三戸:(チーム・サトミには)予算がないんだよ。

渡辺:それに、作品の都合上、僕らの成長が著しく滞るというか(笑)。便利な物がいっぱい付いていたら、直接的に戦おうとはしなくなるじゃない。

三戸:元々それ以外のところで勝って行くというのが、チーム・サトミの魅力だからね。

小野:その場その場で、臨機応変にね。

渡辺:でもさ、敵の武器、超ずるいよね。ワイヤーで捕まえるやつとか、勝手に操るやつとか、竜巻っぽいものを起こすやつとか(笑)。

三戸:そう考えると全部ずるいね。

小野:本当にウチらにはなんにもない…。

渡辺:逆に言えば、チーム・ヴェルシュタインは1回(のレース)で1度しか使えないから、まだウチらに近いかな。それに、前シーズンまで使っていた「インドラガ・マノ」が駄目になったんだよね。だから今シーズンはまだ近いかな。

三戸:でも、一番「なんだそれ」って思ったのは、チーム・エッジレードの「人形使い」だね。明らかにルール違反じゃないかってのが、見た目で分かりますから。

渡辺:そうだね。それにあの時点でコース走ってないもんね。

小野:ワイヤーにぶら下がって、ショートカットとかしてたし(笑)

三戸:レギュレーションと戦いながら、如何に法の目を潜るかっていう(笑)

小野:法の目潜り大会だからね(笑)

渡辺:あれがあったらウチらだって勝てたわけですよ。でも、そうだったら、タケシはのほほんとしていたわけでしょ?

三戸:チーム・サトミも、一度だけ使いきりのブースターを使ったけどね。逃げの必殺技。

小野:あった、あった。

三戸:「何か必殺技があるか?」と言われたら、ウチはコンビネーションですよ。「2wayと4マイナーを組み合わせて」みたいな。

渡辺:難しいこと言ってる(笑)

三戸:なんかあったよね?

小野:あった。あった。

三戸:タケシは剣道やってるから、長物的なものを持ちたかったかな(笑)。

――:リズは中国武術をやってましたよね。

三戸:そうですね。

小野:動きに出てましたね。

渡辺:なるべくアクション(息)を入れる様にしてたよ(笑)

小野:結局、インナーエッジを持っているチームが負けてるから、じつはIGPXは正統派がいいんじゃないでしょうか。

 

■ シリーズ全体をアルバム風に見てください

渡辺:『IGPX』って1話1話が凄く濃くて、おちゃらける時も、もの凄く…100%でおちゃらけてやっているので、どこが見所かと言われたら、各々なんだろうって思うんです。僕はやっぱり自分のキャラは可愛いから、リズが困ったり切なくなっていると、親心で「見所だわ」って思うんですけど(笑)。みなさん各々が、好きなキャラだったり、好きなチームが戦っているところが見所なんだって思うので、どこをとっても美味しい作品だと思います。

三戸:見れば見る程、面白くなる。後半に行けば行く程盛り上がりが激しくなってくるし。結局、前半に積み立てた貯金が、後半でボンッと活きて来るので、是非、最初から最後まで通してみて欲しいですね。

小野:私も同じなんですけど、たぶんオンエアをだけ見ていると、キャラクターが成長している部分だとか、チーム・サトミがどうやってまとまり始めたかとかって気付き難いと思います。でも、改めて第1話からもう一度見直していただけると、1年目にどれだけ苦労していたかっていうのが、凄くわかるんじゃないかなと思います。

三戸:成長ってリアルにはそういうものかもしれないよね。

小野:それをアルバム風に振り返ってもらえると、それまで気が付けなかったところで、気が付けるかもしれないと思います。

(2006年4月収録)




>> 座談会トップページへ

 

(c) Production I.G・Cartoon Network/IGPX製作委員会
このサイト内のコンテンツを権利者に無断で複製、改変したり第三者に譲渡、販売、添付(ネットワーク通信で提供する事を含む)することを禁止します。